パリに留学してまもなく彫刻のモデルを前に鉛筆やコンテでデッサンしていると教授が言いました。
「YOKOは日本人なのに何故筆で描かないのか?」「え!?・・・・・」
今まで筆でデッサンしたことなんかありません。芸大で言われたこともありません。
木彫を彫る時、筆で木に直に描きながら彫り進みます。
その時に筆を使う位のものでした。
でもやってみようと思い、筆を使うようになったのは皮肉にもパリ時代から。
以来版画の下絵を私は直接版木に筆で描きます。いつの頃からか何故か私は
「ひらがな」という文字が好きで、ある時筆で描いてみたら、とても立体的で
人の姿が浮かび上がりあの丸みや形が私には母と子にみえたのです。
そこから生まれたのが母子ひらがなシリーズ。
あ行「あいうえお」から始まってか行、さ行、た行、な行、は行、ま行、や行、ら行、わ行、「ん」まで
その後さらに一文字づつ彫って「あ」から「ん」までいこうと思い今はまだ「と」まで進んだところ
「ん」まで行き着くのは数年先?!・・・・・・・
「あ行」以下それぞれの真ん中の丸の中の記号のようなものは日本の神代文字と言われる
古代文字の一種から拝借「フトマニ」というそうな筆に濃淡をつけてひらがなを書いてみると
色んなかたちがみえてきます何に見えるかは多分人さまざま。
でも私が母子ひらがなを制作した1989年頃と違い今はテレビのお笑いの人達が実際に体を使って
人文字をやっていたりしますから馴染みやすいでしょう。
筆で描く日本の美しい文字ひらがな「あ」から「ん」まであなたの目の前には何が浮かびあがってくるでしょう
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